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経営のこと environment

 あらいは、私と人生を歩む仲間が苦楽を共にし、一丸となって厳しい未来に挑戦していきます。その中で、仲間の精神的、物質的な安定や豊かさを求め、その幸せが内側からにじみ出るようにして、企業としての存在意義を高めていきます。社会から必要とされる我々にしかできないサービスを提供し、関わる人(仲間・お客様・企業・社会)に感動して貰う。多くの税金を納める等を通じて、社会に貢献できる経営を目指しています。

近き人が喜ぶ経営(根本)

 近い人も、遠くより来る人も喜ばせるようであれば、喜びは当然に喜ばせた人に返ってくる。このように考えると経営は、複雑でとても難しいようなものであると考えてしまうが「近い人を喜ばせる」で十分といえる。

 そのような近い人が喜ぶ経営をするには、まず(会社に一番近い)仲間、次にお客様から喜ばれる経営になる。こう述べると甘い経営を思わせるが、実現しようとするとこれほど厳しいものはない。まず、近い人を喜ばせるための第一の条件は人と企業の持続的な成長である。次に、仲間の喜びを優先するものとしては、地位(名誉・利益)がある。そのために、仲間が喜ぶには、相応の厳しさを覚悟〝周りをよくするために尽くす苦労(智と汗)〟が必要不可欠になる。仲間が喜ぶとしても、能力・功績のない人(周りの人のために尽くす苦労をしない人)には、地位は与えられない。注意を続けても改善を見込めない人には、罰していかなければならない。更には、静かに去ってもらうという冷酷さをもつ経営者でなければならない。これこそ企業に対する忠誠といえる。つまり、賞罰を公平に巧みに行う必要がある。しかし、これだけでは人を抑圧する懸念もある。よって、厳しい未来に挑戦する中で、思いやりの心と責任(慈しむ心)・良心(誠実な心)を基本とし、敬う・慎む・譲ることを常に心がけて人を活かさなければならない。組織内の人々をやる気十分にするには、経営者の心一つにあるといっても過言ではない。心しなければならない。

 これらを含めて「近い人が喜ぶ経営」を根本理念とし、経営の拠り所、進むべき方向性、更には目的を定めておくことは企業発展の近道になる。

企業が責任を果たさなければならない優先順位

1.仲間に対する責任の優先順位

 会社経営にとって最も近い人は仲間である。その仲間の満足をもってお客様のサービス品質を向上させる。

  • 会社の安泰と持続的な成長を追求する(仲間の喜びのすべては、会社の安泰と持続的な成長から生まれるからである)
  • 仲間に十分に配慮し、大きな期待をかけ、逆境を乗り越え、人格形成できる環境を創る(積極的に投資をする)
  • 仲間の精神的な幸せと、物質的な幸せを実現する
  • 惜しまずあらいの人間力を高める人には、地位や名誉のある待遇を設ける
  • 惜しまずあらいの人間力を高め、仲間に影響を与える人には、経営の自由を与える

2.お客様に対する責任の優先順位

 あらいと取引して本当に良かったと思っていただけるように思いやりと責任をもって、お客様の立場(親身)になって利便性を追求することで、私たちにしかできないサービスを提供し何度も買っていただける・感動してもらえる存在を目指す。

  • 豊富な知識と経験をもとに、正確さ・スピード感をもって、明るく元気で親切、丁寧な気持ちのよい対応を心掛ける
  • 増改築・リフォームにまつわるあらゆるメーカーを取り扱い、仕入れ先との連携を図る
  • 「現場に役立つ1万8千点の在庫」をこれからも拡充する
  • 自社開発システムとSEO対策を駆使したネット通販で、知名度を上げる
  • 自社開発の「業務まるごと管理システム」で、業務効率化を図り、確保したリソースを必要な所に充てる

3.取引先に対する責任の優先順位

  • 安心して取引ができる
  • 市場をリードする(値段以外でもつながり合える)ビジネスパートナーとして連携する
  • 共に成長できる関係をつくる

4.地域社会に対する責任の優先順位

  • 社会に役立つ(目の前の最も難しい問題を解決できる)人を育てる
  • 税金を納める
  • 地域社会に貢献する

5.株主に対する責任の優先順位

  • 企業理念の実現

経営理念:人と企業の持続成長

 どんな日が昇り光を浴びて輝いている・日が沈んで静かになっている・暑い・寒い・雨や風の時でも、大樹は地に大きな根を張り、年輪を重ねる。そうして、少々のことではびくともしなくなり圧倒的な存在感を放つ。

 株式会社あらいも、この大樹のようにどんな時も自分たちの力に応じた成長を何百年も続ける。そうすることで、人生を共に歩む仲間が、年々よくなったと思えるようにしていかなければならない。

※「経営理念」とは「使命感=誰のために何をするのか・将来の構想=どうなりたいか・価値観=何が大切か」になる。

経営指針 :仲間を幸せにすると共に、我々にしかできないことで社会貢献する

 あらいは創業以来、「増改築・リフォームのプロを支える」を掲げ、厳しい未来に挑戦してきました。私と仲間が一丸となり、力を最大限に発揮し、目の前の最も難しい問題を解決するために、収益を高める。生み出した利益を蓄え、事業を進化させるために投資をする。付加価値を生み出し、相乗効果を図り、事業構造を進化させ、企業としての存在意義を高め続けてきた。そのように目の前の最も難しい問題を解決する中で、自分たち(私と仲間)の人生を本当に良かったと思えるようにしていくために、2つの幸せを実現させたいと強く意識するようになっていった。

 1つ目は、誇り高い仕事をする(精神的な幸せを求める)こと

 2つ目は、会社を発展させることで、仲間の経済的な安定を感じられるようにする(物質的な豊かさ求める)ことである。

 この2つの精神的、経済的な幸せを実現し、その幸せが内側からにじみ出るようにして私たちにしかできないサービスを強化する。そのサービスがお客様に選ばれ、満足していただけることは、私たちにしか味わえない喜びになる。それが「人生において大切な財産」になると考えている。そのようにして人と企業を育て、利益を上げ、多くの税金を納めることなどを通じて社会に貢献し、会社も人も年々よくなっていく経営をしていかなければならない。

※「経営指針」は、経営の方針を包括するもので、会社の目指す(何処に向かうのか)方向を表す。

行動指針:自分を磨き、逆境である目の前の最も難しい問題を解決し続けることで、企業の存在意義を高め、感動してもらえる存在を目指す

1.志を掲げる・強固にする

2.慈しむ心で人を育てる・思いやりの心と責任をもつ・

3.良心を偽らない・誠実な心をもつ

4.自分の限界を超えていく

5.相手を優れたものとして大切にし、高い敬意を払う(自分より優れた部下・後輩を育てる)

6.敬う(相手を優れたものとして大切にし、高い敬意を払う)・慎む(過ちや軽はずみなことがないよう慎重にことを成す)・誠意を尽くす

7.心の絆を結ぶ

※経営指針を遂行し、実現していくために、仲間が取り組むべきものを「行動指針」として定める。

あるべき姿:あらいの人間力

 誇り高い立派な仕事をするという願望から、蓄積された知能的な資産を活かす

 あらいでは事業を行っており、企業のリソースが限りなくあるわけではない。そのため経営者でなくても、目指していなくても〝経営者意識〟をもたなければならないものとする。

 経営者意識とは、会社がよくなるように、大きな(会社・自分・仲間の)力を最大限に発揮させることをいう。常に会社のあるべき未来を描き、現状とのギャップをどのように埋めるべきかを日々考え、それを埋めるために、自分のテリトリーを広げる。そして、スピード感をもって結果にこだわる。結果を出すことで、活き活きとした職場につながり、お客さまが増え、業績が上る。このように〝士気を高める〟ことが経営者意識となる。

 それを踏まえて、「思いやる心と責任」「慈しむ心で人を育てる」「良心を偽らない・誠実な心」をベースとして、こうあるべきだと強く思い、万人のいくべき正しい道である「志を掲げる」。その志を拠り所にして厳しい未来に挑戦(お客様の利便性を追求)する。〝逆境である目の前の最も難しい問題を解決する〟ために、先見し、学び、実践・創意工夫することで気力・情熱を生み・(あふ)れるようにする。精神・マインドが常に勝り、それがにじみ出るようにして問題を解決するためのスキルを高める。何としてでも解決するという願望から、一つの物ごとだけに(心を向け一途に)打ち込む「執念」、このままではいけないという「危機感」「責任」をもち「潜在意識」を発揮し、ひらめきを与えられるまで「忍耐強く頑張る」ことで、目の前の問題を解決する。その中で「慎む・敬う・譲る・誠意を尽くすことは、関わる人(会社・仲間・お客様)によい影響を与え、喜んでいただく・満足を得てもらう・潤うことは、良好な信頼関係を築くことになる。それらは物ごとが長く続き深掘りできる。何をやってもうまくいく可能性を高められ、それが感動してもらえるようなおもしろいことにつながる。結果「この人のために」「この人のいうことなら」と、相手の心を動かすことになる。たとえば、お客様・仕入先なら共存、共栄ができる。仲間であればよい方向に導き「心の絆を結ぶことにつながる。このようなことを自分の喜びと感じられる立派な人に育っていくことで、「志を強固にすることができる。

 これを「あらいの人間力」と定義する。「あらいの人間力」は、人を動かす・育てる原動力になる。変化に対応でき、逆境にも強いことから、将来を決する。よって、人と企業の持続的な成長するための重要な一つと位置づける。これらを高めることは、心を鍛え、人間性を高め、人として根本から強くなる〔人生の道を切り開くこと・あらいにおける自らの資質(生まれつきの性質や才能)にもとづくあるべき自己像を高めるものになる〕ため、自分の時間を惜しまず使っていかなければならない。

 家族の方は、「家族に胸が張れる仕事をして人生を切り開いていこう」としていることに大きい期待を掛け、支え、応援してほしい。そうされることで自分を奮い立たせ、その期待を超え、必ず結果を出していかなければならない。このような両親の姿を見て子どもが成長できる家庭を築くことが、よい未来(両親、子どもが立派な人に育つこと)につながる。よって、家族の人生・将来によい影響が与えられる流れをつくることが大切である。それを踏まえて、仲間の人生にも自分たちがよい影響を与える責任があることもしっかり理解していただきたい。

このような誇り高い仕事にする・自己実現を果たすことで、ワクワク生き生き楽しむ仲間と人生を共にしたいと考えている。

※「あるべき姿」とは何かを行う際に、自分の進むべき道、取るべき態度を決めるための姿勢である。

民主的・善の独裁

 経営者の心得こころえとすべき原点は「会社経営は難しい」「経営者が人の意見に、耳を貸さないと傲慢に陥り、悪い独裁になってしまい会社は滅亡する」ことを十分理解することである。 

 あらいでは、この言葉を座右(ざゆう)(めい)として守り経営を行うものとする。しかし、会社の理念・目標・戦略などは民主主義で決めてはならない。会社の意思決定を多数決で決めるなら、経営者の存在する意味はない。経営者が一人で決めるものであるから独裁である。ただし人は、時には誤解や思い違い、間違った考えもすることがあり得る。悪い独裁(他人の関与なしに公正を欠いた判断、自分のことだけを修めること)を防ぐためにも、事前に民主主義的な衆議が必要となる。衆議とは、意見、提案を聴くことである。将来どのような会社にしたいか、そのためにこれからどうあるべきか、多くの意見を求め、耳を傾ける手順(過程・経過)があってこそ悪い独裁を防げる。悪を善といい、白を黒と言い張るようでは困るが、道理に(かな)っているならあくまで貫き、違うのであれば頑として応じない。そのような民主的・善の独裁で最終判断を下していかなければならない。

原理原則

 原理原則とは、基本的な決まり・規則である。「原理」と「原則」を重ねることでその意味を強調した言葉である。

『仏教』に「善因善果』「悪因悪果」という言葉がある。前者は【よい行いがもとになって、よい報いがある】という意味。後者は【悪い行いが元となって、よくない事柄が起きる】という意味である。必ず何処(どこ)かでよい種も悪い種が蒔かれている。蒔くのは自分である。蒔いたら良かれ悪かれ芽が出ることになる。よい種を蒔くとは、周りをよくする(志を掲げ、厳しい未来に挑戦する)行動からの素直・謙虚・感謝・努力などの行動や姿勢。楽しんだり、笑ったりという明るい表現になる。悪い種を蒔くとは、自分本位な考えだけの行動からの不平不満や愚痴・嫉妬・怒り・怠惰・不正・暴力などの行動や姿勢、表現となる。

 これを踏まえて、悪い種を蒔くことは減らし、よい種を蒔くように心掛けていくことが肝心である。周りがよくなるための仕事・種蒔きがされていてこそ成功する。自分、仲間の人生を切り開いていくためにも、あらゆる場面で原理原則を意識して守るようにしていかなければならない。

倫理観

 倫理観とは、人として守り行うべき道(善悪・正邪)の判断においての行動規範となる見方(考え方)である。類語には、「道徳観」や「モラル」などがある。倫理観と道徳観の違いとして「道徳観」は、個人の価値観に依存する善悪の基準となる見方(考え方)。対し「倫理観」は、社会に対して使い、法律に近い見方(考え方)になる。

 近江商人は江戸時代などに活躍した商人で、商売に革命を起こしたことで有名である。この近江商人が大切にしていた言葉が「三方よし」になる。三方よしとは「売り手よし、買い手よし、世間よし」のことである。通常の経営であれば、自社の経営だけを考え、市場でどう勝ち抜いていくかを考える。しかし、三方よしの経営では、買い手にとってもよいものを提供し、そして社会貢献もできるものがよいと考える。それには、本当に相手にとって必要なものを提供することによって、社会もよくなっていく構造が必要である。買い手と世間の利益を大事にしつつも、売り手である自らも利益を得る「売り手よし」を達成する。そうした倫理観を大切にした経営で、仲間一人ひとりの道徳観、商道徳・道徳意識を育てることにつなげていかなければならない。

 二宮金次郎は、道徳を忘れた経営は罪悪である。しかし、経済を忘れた道徳は寝言であるといっている。

 渋沢栄一は、義と利(道徳と経済)の合一が正しい利の追求であると説いている。

〖注意〗人の道に背いて得た財産・地位は、すぐ飛び去ってしまうほど(むな)しいものである。これは、人として守るべき道を守らず(苦労せず)に財産・地位を得たことになる。忘れる前に朝、降りている(つゆ)のように消え去るのが当然であると考えるのが正しい。

天の代理人であることを忘れない

 天に代理として、その職務を取り扱う(担当する)ことを私に与えられていると考え、「志を掲げ、強固にする」「思いやりの心と責任をもつ」「慈しむ心で人を育てる」「良心をいつわらない・誠実な天に代理として、その職務を取り扱う(担当する)ことを私に与えられていると考え、「志を掲げ、強固にする」「思いやりの心と責任をもつ」「慈しむ心で人を育てる」「良心をいつわらない・誠実な心をもつ」これらを基本とし、「敬う」「慎む」「譲る」ことを常に心がける。あやまちのないよう慎重に、日々の務めに関するあらゆる事柄・手段など、すべてを整え、一生懸命に励むような経営を行っているのだと強く自覚する(身を挺して日々暮らし、自分が持って生まれてきた天命をいつも忘れずに果たす)ことが重要になる。それが、仲間にも同様に広がっていく経営をしなければならない。

やってはならない禁止事項

 ここでは、経営者がやってはならない禁止事項を二つ挙げる。

 ひとつは、仲間・お客さまを喜ばせようと、道理(道義)からはずれるようなことを行ってはならない。

 ふたつは、仲間・お客さまが望んでないのに、自分の欲のために行動をしてはならない。

 このようなものを一度やってしまうと後で取り返しがつかなくなる。それゆえ、道義を守ること、仲間・お客さまの感情の両方を重視するようにして、経営していかなければならない。

愛されるために気をつけなければならないこと

 経営者は仲間から愛されてはじめて成り立つものである。経営者が恐れなくてはいけないのは、仲間とお客さまになるだろう。それらの人に愛されるためには、慎重に、仲間とお客さまの心をよく考える。思いをめぐらすことが重要になる。これができなければ、会社がばらばらになる。その気持ちを忘れないよう経営しなければならない。

 自分の役割はどこにあるのか、そのポイントをよく知って慎重に治めていく。更に、自分が願う方向を一つひとつ重点的に進めていくようにしなければならない。

お客さまの心・仲間の心を知り、安心できる環境を作る

 経営をうまく進めるには、まず、仲間の力を最大に発揮させることが大切になる。そのため、仲間一人ひとりの人物像・性格・能力を把握する。更に、お客様がどういう心の持ち主で、何を願っているかを知っておかなければならない。そして、仲間の安心、お客さまの安心につながるような経営にすることが重要になる。

内面充実に努め、実質を伴わない外見だけの飾りを外す

 力のない人が、身辺を飾る(力がある振りをする)ことは、他から褒められるものではない。子犬も弱いからよく吠える。人も同じで、力がないものはよく怒る。力がないから飾り、上辺うわべばかりの勢いになる。

 たとえば、会社経理にも粉飾というものがある。利益が出ていないのに、出たかのように見せることである。最初の内はわずかな額でしかないが、粉飾に粉飾を重ねて制止が利かなくなって倒産する。こうした経営は、実質を伴わない外見だけの飾りで「何とかしよう」とすることからはじまる。それが身について直らない悪い癖になっているのである。反対に、内面充実に努めてきた人は、ますます内面充実に努められるようになる。内面が充実してくると、外部からはわからないが、自分では承知していることになる。よって、粗末であっても劣等感は覚えないものである。

 他にも、いろいろな飾りがあると思う。要らざる悪い癖(実質を伴わない外見だけの飾りが身について直らないこと)は、断ち切らない限り、ついには企業の生命をも失わせることになる。心して、内面充実に努め、実質を伴わない外見だけの飾りが外れるような経営をしなければならない。

方向・熱量(ベクトル)を合わせる

『孫子の兵法書』に「(げき)(みず)(はや)くし石を(ただよ)わすに(いた)(もの)は、(せい)なり。()(ちよう)のののの疾くして()に至る者はに至る者は(せつ)なり」とある。これは【激流が大石をも押し流してしまうのは水に勢いがある。肉食で荒々しい鳥が狙った獲物を一撃のもとに打ち砕く。それは、攻撃の時期を得ているからである】という意味である。

 たとえば、十の力の者を十人集め、同じ目的に向かって勢いをつけられなければ(全員が結集できなければ)、全体の力は百にもならない。しかし、同じ目的に向かって勢いをつけられるのであれば(全員が結集できれば)、全体の力は百にもできる。そして、時期をはかり、共に働く仲間の瞬発力を一斉に発揮できたら、無限の可能性を発揮する(想像以上の力になる)に違いない。

 無限の可能性を発揮するのは大変困難であるが、それを通そうとする確固とした信念と情熱をもって、企業理念を実現するための『あらい学』を共有・共鳴してもらうようにする。一人ひとりの志の方向が分散しないよう、気力・情熱(熱量)が不均等にならないように導かなければならない。

変化という敵を知るためのお金を惜しむべきではない

 事業を行うのに、わずかなお金などを惜しんで事前の調査を怠ることほど馬鹿げたことはない。それでは上に立つ資格どころか、補佐役も務まらない。当然、勝つこともできない。あらゆる手段を用いて広く情報を入手し、現在を知り、将来を先見して速やかに対応しなければ必ず取り残される。変化という敵を知るためのお金を惜しむべきではない。

独創性を重んじる(革新力)

 とにかく人は功を急ぐ。急ぐあまりに小さい利益をつかもうとする。そのため将来の大きな利益が掴めなくなる。他にも、目先の小さい利益に目がくらんで、道に外れたことに手を出して後悔する。見える小さい利益を掴んで、見えない大きな利益を掴もうとしない。どれも大きな成功はできない。

 大きな成功をするには、魚釣りをするにも、小さい池や川では竿を()らさないことである。離れた場所であっても時間をかけ、大きな海を目指さなければならない。

 また、自分の心には義(正しい道・道理にかなったこと)に(かな)ったものがない。法にすれすれであったり、物ごとが成功するかしないかなどが多い。つまり、邪欲は大きいが、やる時は気が小さく臆病である。これでは成るものも成らない。立派な会社にしたいのなら、目先の短期的な利益を追うことではなく、長期的な視野で、将来の大きな利益が得られることをベースとしなければならない。

 あらいは、お客様の利便性を追求する中で、新しい付加価値を生み出し、事業構造を進化させる。そうして、更なる相乗効果を図り、私たちにしかできない強烈な個性がある商品・サービスを開発・提供するものとする。これこそが、卸の枠だけに(おさ)まらない「圧倒的卸」と呼ばれるあらいの矜持(きょうじ)(自分の能力を優れたものとして誇る気持ち・自負)である。

自己資本比率を高める

 日本で法人税を納める(黒字経営)企業は、3割ほどしかなく、ほとんどの企業が税金を納めない(黒字申告しない)ようにしているのが現実である。

 税金を納めない企業は、実際に使っていない経費を意図的に計上したり、実際の売上げを計上しないようにする。それは、公に使えない(社会的に隠した)お金になり、個人でお金を使うことになる。それでは、会社にはお金が貯まらない。税金を納める企業は、総利益(売り上げから経費を差し引いた利益)の約30%を納め、残り(約70%)を貯められることになる。

 会社をよくしていくには、継続的に投資をしていかなければならないため、お金が必要になる。

 お金を増やすには(黒字申告をして)税金を納め、資金を増やすか、銀行で融資を受けるほか方法はない。銀行で融資を受けた場合は、利息がかかり、借入れしたお金を返済していかなければならない。また、いくらでもお金を貸してくれるものではないのも事実である。そのような危険をできるだけ減らしていこうとするなら、税金を納め、自己資本比率を高め続けていくことが大切になる。

 よって、あらいでは、利益を最大限に高め、経費を最小限に抑える。そうして、税金を納め、自己資本比率が高められる経営をしていくものとする。

利益を追う時、損も考える

『孫子の兵法』に、「智者の慮は必ず利害に(まじ)う。利を雑えて、務め信ぶべきなり。害に雑えて患いを解くべきなり」とある。これは、【智者は、必ず、利益と損失の両面から考える。利を考えるときは損のあることも考慮するればことは無事に進む。反対に、損をした時はそれによって受ける利も考慮に入れる。そうすれば心配無用となる】という意味である。

 多くは利を追う時、損を考えないことが落とし穴となる。心しなければならない。

皆のためにお金を使う

 財産や金銭を蓄える効果的な方法は、自分一人だけでは知れたものであるから、他の有力な協力者を得ることになる。有力な協力者とは、お金と時間である。その協力を得るには、お金が稼いだ利息(お金)を人が横取りせずに、そのお金に含めることである。

 たとえば、財産や金銭を蓄えるのが下手な人は、預貯金に利息がつくと取って使ってしまう。元来、利息というものは人が努力して得たものではなく、お金が稼いだものである。これを自分の力で儲けたものと思い込み、勝手に使ってしまう。鵜飼(うが)いは、()が捕った魚を吐き出させるが、全部ではない。鵜も幾分(いくぶん)かは魚にありつける。ところが、財産や金銭を蓄えることがうまくない人はお金の稼ぎを全部さらってしまう。これでは、お金も働き甲斐がなく、損という形でお金が離れる。これに反し、財産や金銭を蓄えるのが優れた人は、利息・配当・運用利益など、お金の稼ぎに手をつけることはない。お金の方も働き甲斐が出るのか、利息に利息を生ませ、より大きくしようと考える。儲ければ、それを元金に加え、より多く儲けようと努めるようになる。これが雪だるま式に大きくなる。最初の頃は、お金を貯めることに一生懸命であるが、中頃からは、貯めなくとも自然に貯まるようになる。「貯める」から「貯まる」ようになるのは、お金が稼いでくれるからである。

 会社の仕事ではなく、お金儲けの話をしたのは、何ごとにつけ、人の手柄を横取りしたのでは成ることも成らないからである。そういう考えから、あらいでは、皆の役立つことに使うものとする。

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